四谷三丁目交差点付近に建つ集合住宅。
総合設計制度により地上に公開空地をもつことで周辺の建築物よりも突出した高さとなることを可能としており、社会的にも景観面や地上の公開性・緑化等の快適性の面で貢献することを求められた建物といえます。
また敷地の条件から形態が非対称となるためそれに対し明快な回答を出すことが求められました。
それらの条件に対して導き出したコンセプトは以下のようなものでした。
■非対称なフォルムは安定を求めて動き出そうとする。したがって動体として認識しデザインする。
■動体性を強調するため構成要素を対比化し、配色等により対比を最大限に強調する。
■都市を情報の海とイメージし、クルージングする客船としてのストーリーを構築する。
■それにより動体に住むという新しい居住概念を生み、堅固な構築物でありながら景観上の圧迫感を払拭する。
配色には濃いブルーとホワイトを選び、海と波頭、空と雲等潤いと流れの象徴性を強調しました。
「客船」に乗り込みエントランスやラウンジ等を経由して「客室」である居住空間に至る過程では、都市的スケールからヒューマンスケールに段階的に変化させ、ヒューマンスケールの象徴としてウッドパネル等温かみのある素材を採用しました。
居住空間にはパノラマウインドウやオープンデッキテラスを設け都市を航海している気分を満喫できるよう演出しました。